もっと早くに読めばよかった

先日ある理由で一時間程時間ができた。
約束が控えている直前にぽっかり空いた時間。
迷いなく本屋に駆け込みこの後もちあるくのに
支障のない文庫本を探した。
町の小さい本屋なので
たいした種類はない。
前々から気になっていた長嶋有という人の
猛スピードで母はという本を買ってみることにした。
初めて読む作者の本は
大体書評(堅苦しいものではなく、雑誌などにさくっと書いてあったりするやつ)をみて、その後本屋ではじめの方を読んで見てからその本が自分好みの文体で書かれていたらがっぷり四に組む事にする。
長嶋さんは、何か月か前のクウネルにその人となりが特集されていた。
その時はさらりと読んだだけだったのだが
そのうち読んでみようかなとは思っていた。
ドトールの椅子に座ってさっそく読みはじめた。全く一文字も読んだ事がなかったのにまるで
7がみっつ並んだような当たりだった。非常に読みやすく、優しいあたりの文体。それは本当に文章の巧みな人にしかなしえる事ができない。
それを証明するかのように、何気ないストーリーも奥深くて、人物描写も際立っている。
兎に角なによりも、文章のひとつひとつがそのまま心の中に入ってくる。この本に出会うまで生きててよかった。