弟について

弟について書くことにする。


私と妹の弟である彼は 幼少期に姉たちの横暴さに耐えることを強いられて育った。
いつも私か妹のあとをついてまわって
なんでも真似をしたがった。
ある時期はワンピースばかり着たがり
顔だちも可愛かったので 
まるで三姉妹がうつっているかのような写真が残っている。


性格もおとなしく素直で 正反対の乱暴者の姉にどんなにしいたげられても
にこにことついてきた。
あの時なんでもっとかわいがらなかったんだろうと後悔している。
今はもうおっさんなのでかわいがるのには無理がある。


彼は中学生になっても高校生になっても
温厚なやさしい子のまま育った。
姉二人のように親に反抗したりということはほとんどなかったと思う。
普通そういう子って今でいえばのちのち問題を引き起こしたりすることがあるが
彼はそのまま大人になり
やさしい夫となり父になった。


本当はきっといつもいつもつねったり叩いたりする姉達に
さぞかし不満があったことだろう。
社会人になっても理想と現実のギャップに悩み
あの頃はつらかったと思う。


それでも彼はいつも穏やかな人でいた。
ガヤガヤしたうちの家族の中で唯一情緒が安定していたように思う。


今また仕事が忙しそうで気になるのだが
その国宝級はたまた天然記念物級のいい性格は
この先もかわらないでいてほしいと切に願う。


こんど焼き肉おごってください。



君に久しぶりにこの本を勧めよう!

一人の男が飛行機から飛び降りる
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5 不条理な悪夢
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